手を繋いで歩こう
本当は、青い海も青い空にも憧れていたわけじゃない。
だって、きっと、奴にとって大事だったのは、あの子だけだ。
あの子の手を選ぶ、自分だけだ。
握り締めあえる、手の平だけ。
それだけ。
唯一にして、無二。
誰でもなく、あの子。
手を繋ぐことだけ、2人で居ることだけ。
望んでいた。
他に、誰も要らなくて。
何処だって良かったんだ。
奴と、あの子。2人だけ。
そして、手を繋ぐ、手の平だけ、あればー…きっと、
「でも、俺の場合、手の平、ふたつっきりじゃ足りないないな」
いつもの楽屋。いつものように、1人がけのソファ。
深く沈んで、何の前触れもなく、ぽつり。
「え、ニノちゃん、妖怪手がたくさんになりたいの?」
隣に座る大野と遊んでいた相葉が、なぜか聞きつけ、見当違いな(少なくても二宮にとっては)言葉を吐いた。
つか、どんなネーミングセンス。
「違くて。ふたつっきりだと、みんなを繋げないでしょ。だから、あと、2つ」
そうしたら、4人と手を繋げるのに。拗ねた様に呟いた二宮に、大野と相葉が顔を見合せ、笑った。
「ニノ、可愛いー」
「ねぇ、ニノ、可愛いねぇ」
2人して、顔を見合せ笑いながら言う。何処までも優しい微笑みで。
「…ニノって、あれだよね。結構、我侭」
ゆったりと、腰掛けた松本が、雑誌から目を離し呟いた
「そう?」
「俺ら、5人なのに、ニノだけが4人と手、繋ぐなんてズルくね?」
にやり、と人の悪い笑みを浮かべて。
「そーそー…、5人も居るんなら、みんなで手ぇ繋ごうよ」
いつものように、1人、椅子に腰掛けた櫻井が、小さく笑う。
「ニノの手は、ふたつきりかもしれないけど、俺らの手もふたつきりだからね」
「だけど、合わせたら、10こだよ?なんか、凄くね?」
相葉と大野が、両手を挙げて笑う。
「ねぇ、スタジオまで手繋いでいかない?」
はいはーい、と挙手する相葉に大野も同意する。
「ね、ニノを真ん中にして、おいらがその隣で」
「じゃ、俺、その隣!」
「はぁ?ちょ、そしたら、俺の手、かたっぽ空くじゃん!」
「…あ、まつもとさんが、キレた」
「俺も、寂しいじゃん」
「あ、翔くんが拗ねた」
ふふ、と笑いだしたのは、二宮だ。
そう、5人で手を繋げば、端っこの2人の手が空く。不公平じゃないか。
「じゃ、丸くなって行きます?」
「…や、それは、迷惑になるから」
真顔で答えた松本に、二宮はとうとう大きな声で笑った。
大切なのは、ひとりじゃない。
4人もいる。
みんなが、みんな、みんなと手を繋ぎたいと思っている。
ふたつきりの手の平じゃ、足りないけど、十分だ。
奴と同じくらい、大切な存在がいるから。
だから、お前は笑っていれば、良い。あの子と一緒に。あの空の下で。
2009/02/25
このしろさま、ありがとうございました!
…ご期待に答えられず、申し訳ないです。鉄コン、好きですvv
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